認知症疾患医療
認知症疾患医療センターについて
センター長挨拶
我が国では、高齢者の増加に伴い、認知症の人が増えており、昨年の厚生労働省の発表によりますと、認知症の人が462万人、認知症予備軍(軽度認知症障害:MCI)の人が400万人にのぼるといわれております。
新潟市でも、認知症の人が3万8千人、軽度認知障害の人が3万2千人と推計されています。
認知症はもはや特別な疾患ではなく、高齢者のありふれた疾患になりつつあります。
今後は、いかに早く認知症の人を診断し、早期から介入しながら認知症の進行を遅らせ、行動・心理症状(BPSD)を出さないように予防していくかが大変重要な課題となります。
当院は、平成26年1月に、新潟市より「認知症疾患医療センター」の指定を受けました。
これを機に、認知症の診断、治療、相談に特化した専門センターをみどり病院内に開設いたしました。
専門外来での認知症の早期診断・治療を行うとともに、御家族の認知症に関する問題や相談を、認知症専門医を始めとする認知症を学んだ専門スタッフがチームを組んで解決していく体制を作っております。
また、認知症の方が肺炎、尿路感染症等の合併症を来した際に、安心して入院治療を受けることができる病床を保有しております。
認知症の医療においては、地域連携が非常に重要と考えています。かかりつけ医の先生方を含めた、多職種との連携など、今後、当センターの任務として、しっかりと構築して行く所存です。
認知症に関するご相談・ご要望がございましたら、是非、当院の認知症疾患医療センターまでご連絡戴きますようご案内申し上げます。
また、利用者様だけでなく家族の皆様の支援も行っていきたいと考えております。ご家族の方が気軽に来られ、利用者様とともに明るく笑顔が絶えない心やすらぐ施設を目指します。
令和4年8月1日
成瀬 聡
事業内容
認知症疾患医療センターでは主に以下の業務を行っています。
専門医療の提供
鑑別診断とそれに基づく初期対応
認知症かどうかを検査(神経心理検査やMRIなどの画像検査)や診察を通じて総合的に判断します。そして日常生活の状況等も踏まえ、治療方法を提案し、ご本人ならびにご家族と介護の方法などを考えます。
当院では、主に認知症の治験も行っています。治験とは「新薬臨床試験」ともよばれるもので、新薬の薬理効果、安全性などを調べるために、ヒトを対象にして行われる試験のことです。治験にはいくつかの段階がありますが、「多数の患者で二重盲検法などにより既存の薬などと比較して新薬の有効性および安全性を明らかにする」目的である第Ⅲ相試験にご参加いただくことが可能です。いまだ根本的な治療のない認知症において、条件を満たした方には、承認に先駆けて新薬候補を試すことができます。
周辺症状や身体合併症への対応
周辺症状および身体合併症の初期診断を行います。また、治療を要する認知症患者さんへ対応します。
専門医療相談
認知症の専門知識を有する相談員が、電話および面談でご相談に応じます。認知症の方とそのご家族のほか、医療・介護福祉関係者からの相談にも対応します。
研修会の開催
認知症についての知識を深めるため、地域のかかりつけ医や医療関係者、ご家族、地域住民などに対し、認知症の専門医療に関する研修会を通じ、普及・啓発を行います。また、他の主体が実施する研修に協力します。
認知症疾患医療連携協議会の開催
認知症疾患にかかる地域の連携体制を推進・強化するため、保健医療福祉関係者、地域包括支援センター、介護保険サービス事業者等による認知症疾患医療連携協議会を組織し、開催します。
保健・医療・福祉関係機関への情報発信と連携
地域の認知症医療に関する連携の中核として機能できるよう、当センターが中心となって、必要な情報を収集するとともに、広く情報を発信します。
認知症初期集中支援チームの運営(新潟市委託)
認知症の方や認知症が疑われる方で、必要な医療や介護サービスなどに結びついていない、あるいは認知症の症状で困っている方ご本人やご家族へ、医療・介護の専門職チームが家庭を訪問し、生活のサポート行いながら必要な機関につないでいきます。
若年性認知症支援コーディネーターの配置(新潟県委託)
若年性認知症(18歳以上65歳未満で発症する認知症の総称)の方やそのご家族へ、専門的な相談窓口を設置しご相談に応じます。